おはようございます。稲垣友仁です。
僕がコーチングと出会ったのが、中学校の教師時代でした。
これはすごいと思って、すぐにプログラムに申し込みました。
しかし、学ぶけど、活かしたい教育の現場で使えない、
ということが最初起こりました。
いや、
正式にいうと、コーチングが機能する場面もあったけど、
集団指導を軸とする学校現場では、
僕の力では機能させられない場面の方が最初は多かった、
というニュアンスですかね。
コーチングスキルを使って、生徒に質問しすぎて嫌われたり、
褒めることで個人的には笑顔になったとしても、
集団として全体的には何も変わっていないということが起こっていました。
私がいた公立学校の教育現場では集団指導の場面が多く、
短い時間の中でカリキュラムが決まっていて、
他の職員と同一歩調を持って進めていかなければならず、
当時の自分では、力技で生徒を引っ張る形の方が成果が出やすいという考え方が
強かったように思います。
今思うと、生徒を「管理する」という意識が強く流れていたことがわかります。
生徒を管理しなければいけないという思いになるのが嫌で、
自然とコーチングに打開策を求めたのですが、
残念ながら僕の力では最初、コーチングスキルをうまく活用できませんでした。
生徒を「管理する」ことではなく、
教師が目指すのは生徒が「自ら学ぶ」ことです。
わかっていながらも、時間が有限にあればできると思うのですが、
時間も限られている中で生徒に学力をつけなければならないという意識が焦りを生み出し、
本質的な目的ではない「管理する」方向に流れされていたように思います。
そのような中、コーチングを学び始めて2年ぐらい経った頃に転機が訪れます。
当時、中学生のサッカー指導者をやっていて、
僕の指導スタイルとしては「お前右だー、左だー、」って叫んで
選手をコントロールするスタイルでした。
僕のチームのサッカー指導者は、
もう一人、僕と似たような歳でサッカー経験者の教師がいて、
私とおなじような、結構叫んで選手を動かすタイプの指導者がいました。
コーチングを学んでからというもの、彼が練習中に叫んでいる場面を見ると、
「これでは、選手が混乱してしまうよなあ」ということを感じ始めていました。
自分もそうだったのですが・・・。
そう思うと同時に、いつもとは違う視点が目に入ってきました。
ボールを扱うサイドにはいない選手が、
相手を引き付けるような素晴らしい動きをしていたのです。
いつもならば、「〜がいい動きをしているので、見ろー」と叫んでいたのですが、
その時は、どうしてそのような動きをしているのか、彼に聞きたくなりました。
そこで、全員を集合させて、みんなの前で彼に質問してみました。
「逆サイドで、〜という動きをしていたけど、どうしてそんなことをしたの?」
そうすると、彼は、流ちょうにその理由を皆の前で語りだしました。
それを聞いていた、そのほかの選手が「へー」と感嘆の声をあげながら、聞いていました。
いつもならば、その場所で私が解説したりして教えていたのですが、
今回は教えるのは一切やめ、質問に徹しました。
そうしたら、そのあとの選手の動きが、今までとまるで違う。
水を得た魚のように動き回り、
先ほどの質問した選手のような動きを何度もトライしていました。
今までは、僕が教えても教えてもやらなかった選手達が、
同僚のたった一言で影響を受け、変化したのです。
ちなみに、その彼が言ったことは、何度も私達コーチが常日頃から言っている事。
今更、なにを感嘆の声を上げてるんだと、本当は突っ込みたくなる内容でした。
この出来事から、学んだことが、自分が「教えすぎていた」ということ。
教えれば教えるほど、選手の主体性を奪っていた。
教えるのをやめ、彼らに質問をし、彼らの言葉で語ってもらうことで、
僕が教える以上のクリエイテビティが発揮されたのです。
この出来事から、僕はあまり教えなくなりました。
そして、何より、この出来事からコーチングが使えるものに変わりました。
彼らの「自ら学ぶ」という意識を大切にしながらチーム運営していくと、
チーム自体が変化し、負けると泣き出す選手も出てきました。
悔しさをバネに自分たちで練習を考え、トライし、
最終的にはトーナメント戦で勝ち続けていくチームに変化していきました。
この出来事から、人間には元々「自ら学ぶ」という力が備えられていて、
それを体現できる環境さえあれば、
その力を発揮することができるんだということが体感できたと同時に、
コーチングというコンテンツは
その前提の元に体系化されているんだということに気づきました。
これまで学んできたことが一気にまとまり、
それと同時に教育すること、
生徒と接することが楽しくなってきた出来事でした。
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