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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【共創コーチング®︎コラム】これからの最先端教育の形③〜集団の目には見えない雰囲気が、人間の能力を開花させる〜

おはようございます、稲垣友仁です。
前回の私のメルマガでは、アダプティブラーニングについてお伝えしてきました。

アダプティブラーニングとは、

学習者一人ひとりの学習進度や習熟状況に合わせてコンテンツや学習方法を提供する学習法です。

AIの進化によって、現在では生徒の学習進捗や習熟度をAIが分析し、一人ひとりに適した学習内容を提案できるようになってきており、学習塾や人材育成の分野でAIを用いたアダプティブラーニングの実践が行われ、成果も出ているようです。
アダプティブラーニングの狙いは、「個別最適化」を目指すということで、個の特性に合わせて学習サポートをしていくというのが核となる考え方です。

集団で学ぶ意味はあるのか?

そうなると「集団で学ぶことは必要ない?」という疑問が出てくると思います。
いじめなどの問題も出ている学級運営、今まで、学校で行われてきた所属クラスの意味が問われてきます。

こちらのメルマガでは何度も紹介している書籍、

『Helping Children Succeed
私たちは子どもに何ができるのか
非認知能力を育み、格差に挑む』
著者:ポール・タフ 訳:高山真由美
2017/9/19 英治出版

に、そのような疑問に対する答えが掲載されていました。

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「生徒のやり抜く力(グリット)や粘り強さに直接働きかけることが、成績向上の効果的な手段になるというエビデンスはほとんどない。
他の生徒よりも粘り強く作業をしたり、より強い自制を示したりする生徒ももちろんいるが、学校や教室の状況がポジティブなものの見方や効果的な学習を助長すれば、全ての生徒が粘り強さを見せるようになる」
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要するに、人間として大切な、物事をやり抜く力や粘り強く取り組むという力は、トレーニングによって高まるという考え方よりも、集団の雰囲気がある状態になれば自然とその力が現れてくるということを言っています。

上記の書籍には下記のようなことも書かれています。
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「「教科の指導法」ではなく、「落ち着いた雰囲気の作り方」の訓練を受けた先生のクラスでは、生徒の成績が劇的に伸びる。」

「教師が、ポジティブな感情に満ちた雰囲気を作り、自律性を求める生徒の気持ちを敏感に感じとる姿を示すというトレーニングを受けることで生徒の成績に影響する」
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要するに、内容をうまく教えることももちろん大事だとは思いますが、それと同じぐらい、集団の雰囲気をうまく作れるようになることも大事だということがわかります。

以上のような理由と私の経験から、集団が人間の学習にポジティブな影響を与える特性は以下のものがあると考えられます。

1、集団の雰囲気によって人間の根本的な力が引き出される
2、集団の雰囲気によって意欲が刺激され行動の継続性が維持され
3、集団で多様な意見を聞くことで、「気づき」が起こり学びが深まる

このような個別学習では手に入らないものが集団での活動によって手に入れることができるのですから、集団をうまく活用することは大いに意義があるというか、必須だと私は思います。

未来の教育の形

実際に、昔から動画配信をメインに行っている大手塾でも、グループでの学びを定期的に取り入れているそうです。

動画配信で有名塾講師の授業を見て生徒が自分で勉強して、一週間に1回から1ヶ月に1回ぐらいの頻度で、グループで自分の学習進度や悩みについてディスカッションをすることで刺激を受け、その後の学習に意図的に影響を与えるということをやっているそうです。

ちなみにその塾では先生のことをコーチと読んでいるそうで、コーチは1対1の個別のサポートも行いますが、グループのディスカッションも担当します。

個別と集団の両方を扱う

これからの教育は、「教える」ということ自体は上手な方の動画を見ることで事足りてくると思います。
また、AIが個別適応化された学習計画案を出してくれるので大枠はそれを元に生徒の学習のガイドラインは出来上がると思います。
しかし、実際の行動は、生身の人間であるため日々状態が変わります。ですので、目の前の状態を見極める人間の力、人間の支援は引き続き必要になってくると思います。
そして、より高次の力を発揮させるためにはグループの力もうまく使うことで、思ってもないような高みまで登り詰めることができるのです。

人が「学ぶ」ということに対しては、個別と集団の両方を目的に応じてうまく使い分けていくことが必須なのです。

人材育成にせよ、学校教育にせよ、教育を扱う方は個別支援を行う面ではコーチングを、集団を扱う面ではファシリテーション技術(グループコーチング)を学んでおく必要があると思います。

参考文献:

『Helping Children Succeed
私たちは子どもに何ができるのか
非認知能力を育み、格差に挑む』
著者:ポール・タフ 訳:高山真由美
2017/9/19 英治出版

https://mshn.jp/r/?id=11f8t79&sid=4758

 

※稲垣友仁は宇都宮大学と連携して、将来的に活躍する科学人材の育成研究(宇都宮大学iP-U)に携わっています。
人の高性能を引き出す関わりとはどのようなものであるのか下記のコラム連載があります。
これからの最先端教育の形③ 〜集団の目には見えない雰囲気が、人間の能力を開花させる〜(上記の記事です)

 

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