「私はどうしたい?」~人生を前に進める究極の質問~

●組織情報
組織名
株式会社 丸宗
●事業内容

受講生プロフィール

鬼頭由梨亜(きとうゆりあ)

株式会社 丸宗 代表取締役 副社長
韓国生まれ。30年前、現在社長を務める夫との国際結婚をきっかけに来日。
新事業を立ち上げるため、共創コーチングを学ぶ。2016年に共創コーチングの資格を取得。グループコーチング習得プログラムにも参加し、2018年から1年半かけて役職者を対象とした「社内3分間コーチ養成」を行う。現在は、コーチングを取り入れた「マルソウ1on1」を社員120人に実施している。また、外国人の人材派遣事業「キャリアテラス」を社内起業し、外国人の教育にコーチングを取り入れている。

共創コーチングに関心をもったのはなぜですか?どんな事業が立ち上がりましたか?

 最初にコーチングに関心をもったのは、新事業を立ち上げたいと思ったことがきっかけでした。経験のあるベテラン社員が、定年以降も1人1人に合った形で働けるようにするための事業です。そのサポートをするためには、自分にも面談で使える資格があった方が良いと思いました。ネットで検索して、家から通いやすそうなところだったので、共創コーチングを選びました。
 最初は気楽な気持ちで通い始めたのですが、スクールでは改めて自分の人生を深く考えることもあり、結果、自分のライフワークである外国人の人材派遣事業「キャリアテラス」を立ち上げることができました。というのも、そもそも私は韓国人で結婚を機に日本に来ましたし、主人が社長を務める「丸宗」では20年以上にわたり外国人を採用してきました。そのため、外国人が働くときに「どういうことで困るのか」よく知っていたからです。
 ただ紹介するだけでは意味がないと思ったので、日本語教室を開いたり、溶接などの資格を取るためのサポートをしたりしています。平日にも練習場所を提供して、溶接の経験が積めるように工夫しました。派遣前には、安全教育と未来の人生プランを書いてもらうことにしています。
 そして、共創コーチの資格を活かして、私が面談も行います。その人の人生プランと今の生活のギャップに目を向けさせ、ギャップを埋めるために「明日から何ができますか?」と投げかけます。これをしておくことで、外国人であっても責任をもって日本の会社で働くことができると考えています。また、仕事だけに目が向いてしまうのではなく、人生と仕事を結びつけて考えることができるようにサポートしています。

共創コーチングを通して、由梨亜さん自身はどう変わりましたか?

 共創コーチ養成コースで、陽子さんのコーチングを受けたときのことです。私は、主人が社長を務める会社で副社長として働いているのですが、ときどき主人と私の間で考え方が違うことがあります。それで、「自分の役割は何だろう?」「社員教育をどうしていったら良いだろう?」と悩むことがありました。
 そのことを陽子さんに話したところ、「それで由梨亜さんは、結局どうしたいの?」と聞かれました。とても印象的な質問でした。その質問をされたことで、私は日常の細かな出来事や悩みから一旦離れることができました。自分自身を俯瞰してみることができたのです。そうすると、自分の考えにこだわりすぎないようになり、いい意味で周りと自分を合わせやすくなりました。
 これは私の習慣になり、「一体、私はどうしたい?どうなりたい?」と定期的に自分に投げかけるようになりました。すると、「私って自由だ!」と思い出します。そのままの道を進むことも別の道に進む方向を変えることも、どちらも選択できると気づくのです。もちろん選択の責任は自分にありますが、余裕をもって楽しく選択できるようになりました。

共創コーチングの講座内容で印象に残っていることは何ですか?

 基礎コースで、コミュニケーションのタイプ分けを習いました。4つのタイプの中の1つであるアナライザータイプ(沈着冷静慎重)の人に対して、「話していて何か合わないな」と感じることが多いことに気づきました。そして、自分の中にはそのタイプの特徴はあまりなかったので、これからは相手のタイプに合わせて話すことが必要だと思いました。 
 実は、男性社員の1人はまさにそのタイプで頭が良く論理的に話をする人でした。その人は会議で話がまとまりそうなときに「ちょっと待った」と言い出すことがあり、言っていることは正しいことなのですが、皆のやる気が高まっていたのになぁと思うことも時々ありました。しかし、その社員とコーチングをするうちに、彼の言動に理由があることが分かり、彼のよさを深く理解できるようになりました。
 最初に、彼から2つの目標を聞きました。それは、“社員全体の5Sのレベルを上げたい”、“品質を上げてクレームを減らしたい”というものでした。製造業で5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけのことです。これらは、生産性を高めたり安全に作業を進めたりするために欠かせないこととされています。彼の目標を私も理解できたので、言動をサポートしやすくなりました。結果、お客様から「(作業場が)かなり綺麗だね」と言ってもらえるほど良くなり、自信をもって会社を案内できるようになりました。品質も上がり、お客様からのクレームが減りました。コーチングを通して彼との関わりが増えたことで、私は彼の秘めた情熱や愛情に気づくことができました。

共創コーチングで学んだことを会社の中でどう活かしていますか?

 共創コーチングの学びといくつかの本を参考にして、上司と部下が定期的に面談を行う“マルソウ1on1”を会社に導入しました。
 マルソウ1on1の最大の目的は、上司と部下の「関係の質」を高めることです。ですから、仕事の確認や指示命令はその時間には行わないように徹底しました。共創コーチングで学んだ「聞く」「質問する」のスキルを3年ほど前から少しずつ社内研修で教えたり、中間管理職にグループコーチングを行ったりしてきました。そのため、1年ほど前にマルソウ1on1を導入するときもそれほど抵抗なく社員が受け入れてくれたのだと思います。今は、社長から末端社員まで全社員が月に一度1on1を行っています。
 丸宗では2~3人の末端社員ごとに班長がいます。これまで、班長は仕事上の責任はあるものの末端社員とそれほど変わらないところがありました。しかし、1on1を始めたことで部下をもっている自覚が高まりました。班長に「どうすれば部下がもっと仕事をしやすいようにできるか」という視点がうまれたのです。
 1on1で話した内容は簡単に紙に書いてもらい、ファイルに綴じて提出してもらっています。それによって私は、社員がどんなことで悩んでいるのか知ることができ、人間関係が上手くいっていないときも早く気づけるようになりました。社員からは、「上司と話ができる時間が1ヶ月に一度決まっているのは安心する」という声が上がっています。
 1on1の導入を考えている会社があったら、きちんとした専門機関で学ぶことは当然ですが、その後、まずはやってみて欲しいと思います。最初から完璧にはできないかも知れませんが、私のように必ず効果を感じるときが来ると思います。

最後に、みなさんに伝えたいことはありますか?

 社内の勉強会で私は、自分の葬式で家族が話す「別れの言葉」を考えるワークをしました。人生の最後の瞬間から「自分が今をどう生きて行きたいのか」を改めて考えるためです。
 “マルソウ1on1“や“外国人の派遣事業キャリアテラス“を始めることができたのも、私自身が病気を経験し、人生が有限であることを意識するようになったからだと思います。
 何度も「私はどうしたい?」と自分自身に問いかけ、ビジョンを明確にもつことで、生き方もそこに向かって定まってくると思います。共創コーチングは、あなたが本当に行きたい方向に向かって行動していくための手助けになると思います。

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