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お知らせメルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【教育者向けコラム】人は、教えない方がよく育つ2

Schoolchildren and teacher studying in school library

こんにちは、稲垣友仁です。

 

今回のコラムは前回の続きとなります。

※詳しくは下記のリンクをご覧ください。

人は、教えない方がよく育つ1

 

 

前回のコラムでは、私が中学校のサッカー指導者をしていた頃に、必要以上に教えないことで、選手の主体性を引き出すポイントをつかんだという話でした。

 

それ以降、私が叫んで教えたり、コントロールすることがめっぽう減っていきました。

 

そして、その後、成果が出たのか?。

 

というところから今日のお話をしたいと思います。

 

サッカー部の練習メニューは、日頃、私が練習メニューを決め、すべて私の監視下に置いて練習をさせていたのですが、前回のメルマガで書いた出来事以来、私はミーティング中に選手に意見を求めたり、選手に練習を任せる、コーチング的関わりの機会を増やして行きました。

 

それから、約3か月たった6月。地区内のリーグ戦が行われていました。

ある日、戦力的には1ランク上のチームに敗戦した日のことです。

我がチームはあまり強いチームではないので、これまでもよく負けていました。

いつものごとく、我がチームは、試合終了後の敗戦を反省するミーティングを行っていました。

 

半年前っだったら、ミーティングも私が全部仕切って、選手にいちいち教えていたのですが、今は選手に任せて後ろで見ています。

 

そのようなミーティング中、一人、うちの副キャプテンでエースの選手がうつむいて黙っていました。

周りも彼がうつむいているのを不思議そうに見ています。

一人ずつ話をして行ったのですが、彼の番が来て止まっています。

 

おかしく思った私は、彼に聞きました。

「どうした?ずっと下向いてるけど、何かあったのか?」

 

彼は、黙ったままです。

 

「誰かに何か言われたのか?」

 

首を横に振りました。

 

「もしかして、お前、泣いているのか?」

 

そういうと、彼は首を、少し縦に振った感じがしました。

 

びっくりした私は、確認しました。

 

「試合に負けて、悔しくて泣いてるのか?」

 

彼は、はっきりと首を縦に振り、そのまま黙っていました。

 

 

その後も、ミーティングは選手に任せ、黙って後ろで見ていました。

その状況に、選手たちは何もすることができず、ぼうぜんと無言のままで円になってしばらくの時間をそぼままの状態で過ごしていました。(コーチングでは沈黙をとても大切にします)

 

そのようなミーティングを行った次の日から、彼らに変化が出てきました。

 

いつもならば、私が行くまで練習に身が入らない状態だったのが、私がいてもいなくても真剣に練習をするようになっていきました。

 

練習メニューも彼らから必ず私のところに聞きに来るようにもなり、私が何も言わなくても進んで練習を行うようになっていきました。

 

この一件で、私は大きな気づきを得ました。

 

それは、

 

「私は、今まで、選手の悔しさを奪っていた。」

 

ということ。

 

今まで、負けて悔しいのは、誰よりも私でした。

私が、戦略を考え、試合で一番声を出している状態だったので、一生懸命やって負ければ、私は悔しいですよね。しかし、選手には一切責任がなかったし、考えてなかったので、選手は負けても悔しくなかったのです。

 

しかし、私が選手に聞くようになり、責任をどんどん選手に渡していったので、選手も自分で考えて、自分でやって、それで負ければ悔しくなるわけです。

 

その敗戦以来、悔しさをバネに、毎日真剣に練習を積み重ねて行った彼らは、1か月後の7月に最後の夏の大会を迎えます。

 

1回戦に超強豪チームと対戦しました。

 

これまでは、0対5で負けるような歯が立たないチームだったのですが、

最後の試合は、接戦の末、0対0の同点で、PKで惜しくも負けてしまいました。

本当に、押しつ押されつの対等な試合でした。

相手チームは、その後、県大会で優勝し、東海大会にまで進んでいったということで、我がチームの成長が証明されたように思います。

 

我がチームは、本当に強いチームになっていきました。

 

何よりも、最後まで全力で毎日を過ごしてきた彼らの最後の試合が終わったときのすがすがしさは、今でも記憶に残っています。

 

「勝った喜び」

「負けた悔しさ」

 

良いも悪いも、そういった感情こそ、指導者やリーダーだけが味わうのではなく、うまく選手みんなに受け渡していくことの大切さを、痛感した体験でした。

 

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