おはようございます、コーチング・システムズ稲垣友仁です。
職業柄、学校でいろいろな先生の授業を見学させていただきます。
この先生はすごいなあと思った先生の授業ほど、授業でその先生が教えている場面をあまり見ません。
先生が「教える」場面より、生徒が「話している」「作業している」場面が圧倒的に多いことに気づきます。
子どもたちは生き生きと意見を述べあい、学習の定着率も高い。
どうして先生が教えていないのに、子どもたちの学習定着率は高いのか?
ある実験が、それを示しています。
アメリカ国立訓練研究所の研究で、学習定着率を表す「ラーニングピラミッド(Learning Pyramid)」というものがあります。
Dale, Edgar. (1946) The “Cone of Experience”,
Audio-Visual Methods in Teaching. NY: Dryden Press.
・講義(Lecture)5%
・読書(Reading)10%
・視聴覚(Audiovisual)20%
・デモンストレーション(Demonstration)30%
・グループ討議ン(Discussion Group)50%
・演習(Practice Doing)75%
・他の人に教える(Teaching Others)90%
この研究は、確かな実証実験があったわけではなく、ラーニングピラミッドはあくまでも仮定されたモデルで、科学的に裏付けられたものではありません。
世界中に、この概念が広まる中で数値なども付け加わっていったものだそうです。
教育に関わるたくさんの人が自身の体験から感じていることとほぼ一致しているということで、いろいろな教育機関で紹介されているものです。
上記のラーニングピラミッドを見ていくと、
講義など、教える側が一方的に話す、教える場面では、相手の学習定着率はたったの5%しかありません。
読み物を読ませることで10%にあがり、映像や図などを見せることで20%にさらに上がります。そしてデモンストレーションで30%となります。
ここまでは、教える側が主体の作業で、生徒側からすると、聞いている、見ているという受動的な作業になります。
さらに見ていくと、グループディスカッション、演習、教えるなど生徒が主体的な作業になると、学習の定着率が50%、75%と高くなり、他人に教える作業を行わせると90%に跳ね上がります。
この概念からわかることは、生徒が主体的に関わる能動的な学習場面を増やすことで、学習の定着率が上がるということです。
相手の学習定着率をあげたければ、一方的に教えていてもだめだということです。
いかに教えるか?ではなく、いかにいかに学習してもらうのか?能動的な作業を行ってもらうか?
ということを考える必要があるということを示してくれているのです。
これは、学校現場だけではなく、企業などでも同じことで、一方的に教えていても相手は学んでくれません。
いかに相手の能動的な学習を引き出す場面を作りだすのか?が大切なのです。
「教えない」=「能動的な学習場面を作る」
教えないということは、何もしていないのではなく、相手の学習が引き起こされるスペースを作り出しているということなのです。
教育に携わる方々には、当たり前の概念かもしれませんが、これを実際に実践して結果につなげている人は、まだまだ少ないように思います。
これからの教育は、いかに教えるか?ではなく、いかに相手の学びを引き出すのか?についての研究が深まっていくと思います。
その中で、コーチングスキルの担う役割は高まっていくと思います。
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