こんにちは、稲垣友仁です。
8月に入り、オリンピックも始まりました。各国の選手たちが国を背負って競い合う姿は感動を呼びます。
私の興味は、「選手」よりも「コーチ」「協会」に目が行きます。
優秀な成績を収めている選手の背後には、必ずと言って言いほど、優秀なコーチ、結果を出す組織構造が背後に控えていることが多いです。
どうしてその選手が勝てたのか?、要因は何なのか?、について、いつも考えさせられます。
皆さんもぜひ、機会があれば、そのような視点でもオリンピックを楽しんでみてください。
前回の私のメルマガでは、成功している人に共通している特徴について書きました。
◇成功している人の特徴「やりきる力(GRITグリット)」◇
http://mshn.jp/r/?id=0p9us79&sid=4758
実は、もう一つ、成功している人全員に同じだなあと思った特徴があります。それは、性格的な特徴ではなく、コミュニケーションの特徴です。
私の成功している人のイメージは、自分自身ができるのはもちろんですが、組織のリーダーとして、組織全体を動かし、組織としての成果を出している人です。
社長や教師、チームリーダーなどの中で、
・売り上げをダントツに挙げている会社の社長
・クラスをすごくうまくまとめ、学力の平均値を上げていく教師
・士気の高いチームを率い、ダントツの成果を上げているチームリーダー
そのような、チームとして成果を出している方々と2度3度とお会いすると、必ず行うコミュニケーションがあります。
間違いなく、全員がとったコミュニケーションです。
なんだかわかりますか?
それは、「間接承認」です。
「間接承認」とは、例えば、Aさんを褒めるときに、Aさんに直接伝えるのではなく、Bさんに
「Aさんが、こんなにがんばっていたよ」という感じで、違う人に、間接的に承認の言葉を伝える行為です。
組織として成果をだすリーダーは、全員、この「間接承認」を行っています。
私が、そのリーダーと話すと
「稲垣さん、~が最近頑張っているんですよ。」
「~のおかげでチームはもっているようなものです」
「~が結果を出しました」と、必ず、チームメンバーの誰かを承認する行為を行うのです。
間接承認というと、直接的に耳に入るかどうかはわからないので、効き目が気になると思いますが、間接的に、対象者本人の耳に承認の言葉が入ると、承認の中で一番効き目がある承認なのです。
間接承認の効き目については、昔から言い伝えられています。
鎌倉時代初期に活躍した、曹洞宗の開祖でもある道元禅師(1200年~1253年)によって作られた「修證義(しゅしょうぎ)」というお経の中の第4章に次のような下りがあります。
『面(むか)いて愛語を聞くは面(つら)を喜ばしめ、心を楽しくす、面(むか)わずして愛語を聞くは肝に銘じ魂に銘(めい)ず、愛語能(いわ)く廻天(えてん)の力あることを学すべきなり。』
要約すると、
「面と向かって、愛のある言葉(承認の言葉)をかけることは、その人の顔つきもやわらかくさせ、心を喜ばせる。
面と向かわずに間接的に愛のある言葉(承認の言葉)をかけることは、その思いは心の深いところまで染み渡り、魂にまで響く、慈愛の心から出た愛ある言葉(承認の言葉)は、運命を変えてしまうほどのすごい力がある」
ということで、約800年前のお経に書かれるほど、間接承認の威力は大きいのです。
※曹洞宗東海管区教化センターでのコーチング研修の様子(講師:稲垣友仁)
今週は「間接承認」してみましょう。
その人を直接的に承認するのではなく、承認したいことがあったら、その人の上司に伝えたり、その人の友達に伝えたり、その人がいないところで皆に伝えてみたりして下さい。
「~さんって、こんな良いところがあるんだよ」
「~さんに、~をしてもらって、とっても助かった」
間接承認は、本人に伝わるには、時間がかかりますが、その分ジワジワと聞いてくることでしょう。